現役ドラフトは、出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させる目的で、2022年12月に初めて開催されました。
この記事では、プロ野球で導入された現役ドラフトのルールや指名方式について、わかりやすく解説します。
また、第2回現役ドラフト(2023年)より改定されたルールについても解説しています。
- 現役ドラフトとは?
- 現役ドラフトのルールは?
- 現役ドラフトはいつ実施される?
現役ドラフトとは?

まずは現役ドラフトがどのような制度なのか確認しましょう。
出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させる目的で、他球団に所属している現役選手を指名し、獲得することができる制度。
プロ野球の世界では、大きな期待を背負って入団した選手でも、必ず活躍できるとは限りません。
大きく伸び悩む選手や、故障などで、実力を存分に発揮することができない選手も多くいます。
このように活躍することができない選手が、退団・引退へと追い込まれてしまうのです。
しかし、現状では活躍することが難しい選手でも、環境が変わることできっかけを掴むこともあります。
その後押しとなるのが現役ドラフトです。
※参考
プロ野球で“ドラフト”と言えば、毎年10月に開催される、「プロ野球ドラフト会議」が思い浮かびます。
プロ野球ドラフト会議は、正式名称を「新人選手選択会議」と言い、NPBに所属したことがない新人選手を獲得するために行われる会議です。
現役ドラフトの参考となった「ルール5ドラフト」
プロ野球で実施される現役ドラフトは、メジャーリーグで実施されている「ルール5ドラフト(Rule 5 draft)」を参考にしています。
メジャーリーグでも、有望な選手に出場機会が与えられず、ほとんどの時間をマイナーリーグで過ごす選手が多くいます。
このような状態を防ぐために、他チームに所属している現役選手を指名・獲得できる制度がルール5ドラフトです。

MLB規約の第5条に規定されていることから「ルール5ドラフト」と呼ばれているみたいだよ!
ルール5ドラフトの仕組みやルールは?
メジャーリーグで実施されているルール5ドラフトは、以下のような仕組みで行われています。
- 開催時期は毎年12月のウィンターミーティング最終日
- MLBの40人枠に空きがあるチームのみ参加することが可能
- 選手を獲得した場合、指名した選手が所属していたチームに100,000ドルを支払わなければならない
- 獲得した選手は翌シーズンの全期間、アクティブ・ロースター(試合に出場し、プレーすることが可能な選手枠)に登録し続けなければならない
また、ルール5ドラフトでは、指名できる選手に制限があります。
指名することができない選手は、以下の通りです。
- 18歳以下で入団した選手のうち、ルール5ドラフト実施日の時点で在籍5年未満の選手
- 19歳以上で入団した選手のうち、ルール5ドラフト実施日の時点で在籍4年未満の選手
- MLBの40人枠に登録されている選手(メジャー契約選手)
現役ドラフトの仕組みやルールは?


現役ドラフトについて、大まかなルールは以下の通りです。
- 指名対象となる選手を各球団2名以上選出し、リストを提出
- 各球団は必ず1名以上を指名し、獲得する
- 各球団から必ず1名以上が他球団へ移籍する
- 指名対象としてリストアップされた選手については非公開
- 現役ドラフトの対象として選出されたことを本人に伝えるかは、球団の自由
- 現役ドラフトは非公開で行われる
- 現役ドラフトの指名方式(下記で解説)
- 現役ドラフトの対象から除外される選手(下記で解説)
ここからは、上記の中でも「現役ドラフトの指名方式」と「現役ドラフトの対象から除外される選手」について解説します。
まずは、「現役ドラフトの指名方式」から見ていきましょう。
現役ドラフトの指名方式
現役ドラフトの指名方式では、非常に画期的な指名方式が採用されることになりました。
他球団が欲しがるような選手をリストアップした球団ほど、指名権をより早く獲得することができる仕組みを採用しています。


- 12球団より提出された選手リストの中から、各球団が指名したい選手を予備指名
- 最多得票を獲得した球団に最初の指名権が与えられ、1名を指名・獲得する
- 指名を受けた球団が次の指名をすることができる
- これ以降は③を繰り返すが、指名を受けた球団がすでに選手を獲得していた場合は、まだ選手を獲得していない球団の中で、①の得票数が最も多い球団に指名権が移る
- ①の得票数が同数の場合はウェーバー方式。①の得票数が0票の場合は逆ウェーバー方式
- 全12球団が1名を獲得・全12球団から1名が移籍した時点で1巡目が終了
また、希望する球団があれば、2巡目も実施されます。
2巡目の指名順は、2巡目指名に参加しない球団をのぞいて、1巡目で行われた指名の逆順で指名していきます。
ただし、すでに2巡目指名で選手を指名された球団の選手は指名できません。
また、2巡目の指名順が回ってきた時点で欲しい選手が残っていなければ、いつでも指名を棄権することが可能です。
この場合、棄権した球団の所属選手を指名することはできなくなります。
なお、現役ドラフトの指名は2巡目までで終了し、3巡目の指名は行いません。
現役ドラフトの対象から除外される選手は?
現役ドラフトではまず、指名対象となる選手を各球団2名以上選出し、リストを提出します。
リストを作成する際、「現役ドラフトの対象から除外されるため、リストに入れることができない選手」が決められています。
現役ドラフトの対象から除外される選手は、以下の通りです。
- 外国人選手
- 複数年契約選手
- 年俸5,000万円以上の選手(1名に限り5,000万円以上1億円未満の選手を対象とできる)
- 過去にFA権を行使したことがある選手
- FA資格選手
- 育成選手
- 前年の年度連盟選手権試合終了の日の翌日以降において、選手契約の譲渡により獲得した選手
- シーズン終了後に育成から支配下に切り替えられた選手
第2回現役ドラフト(2023年)よりルールが改定
2023年に実施される第2回現役ドラフトより、ルールが1点だけ変更されました。
各球団が提出する現役ドラフト対象選手には、年俸5,000万円未満の選手を2人以上リストアップしなければならない。
現役ドラフトの対象選手を各球団が選出する際、年俸5,000万円以上の選手は対象から除外しなければなりません。
ただし、1名に限り年俸5,000万円以上1億円未満の選手を選出することが可能です。
2022年に開催された第1回現役ドラフトでは、年俸5,000万円以上1億円未満の選手をリストアップした場合でも、リストアップする人数は最低2人でした。
しかし、第2回現役ドラフトからは、年俸5,000万円未満の選手を2人以上リストアップしなければなりません。
そのため、年俸5,000万円以上1億円未満の選手をリストアップした場合は、年俸5,000万円未満の選手を追加して、最低でも3人以上リストアップする必要があります。
現役ドラフトはいつ開催される?
ここからは、現役ドラフトの開催日程についてまとめています。
第3回現役ドラフト(2024年)
第3回現役ドラフトは2024年12月9日に開催されました。
第2回現役ドラフト(2023年)
第2回現役ドラフトは2023年12月8日に開催されました。


第1回現役ドラフト(2022年)
第1回現役ドラフトは2022年12月9日に開催されました。
各球団より提出された選手名簿は2022年12月2日公示です。


まとめ:現役ドラフトについて
ここまで、プロ野球の現役ドラフトについて説明しました。
出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させる目的で、他球団に所属している現役選手を指名し、獲得することができる制度。
また、現役ドラフトの指名は、以下のような流れで行われます。
- 12球団より提出された選手リストの中から、各球団が指名したい選手を予備指名
- 最多得票を獲得した球団に最初の指名権が与えられ、1名を指名・獲得する
- 指名を受けた球団が次の指名をすることができる
- これ以降は③を繰り返すが、指名を受けた球団がすでに選手を獲得していた場合は、まだ選手を獲得していない球団の中で、①の得票数が最も多い球団に指名権が移る
- ①の得票数が同数の場合はウェーバー方式。①の得票数が0票の場合は逆ウェーバー方式
- 全12球団が1名を獲得・全12球団から1名が移籍した時点で1巡目が終了
現役ドラフトの実施により、活躍する選手が新たに出てくることを期待したいですね!
これからのプロ野球では、現役ドラフトによって移籍した選手にも注目です!
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