高校野球の臨時代走というルールをご存知ですか?
実は臨時代走は、プロ野球には存在しないルールです。
ではなぜ、高校野球では臨時代走が適用されているのでしょうか。
この記事では、臨時代走のルールについて、できるだけわかりやすく解説しています。
- 高校野球の臨時代走とはなにか
- 臨時代走が必要な場面とは?
- 臨時代走の詳しいルールについて
臨時代走とは?
臨時代走とはその名の通り、臨時で起用される代走のことです。
走者が負傷した場合など、治療が必要な場合に臨時代走が起用されることがあります。
ただし、臨時代走を適用するかどうかは、審判の判断に委ねられます。
負傷などによる治療のため、試合の中断が長引くと審判が判断した場合のみ臨時代走を適用することが可能です。
臨時代走が必要な場面とは?
臨時代走は以下の2つの場面で必要になります。
- 打者が死球などで負傷し、治療が必要なとき
- 走者が負傷し、治療が必要なとき
どちらのケースであっても、治療のために、試合の中断が長引くと審判が判断した場合のみ臨時代走を適用することが可能です。
臨時代走とはどんなルール?
臨時代走のルールのポイントは、以下の4つです。
- 臨時代走として出場する選手は規定で定められている
- 治療を終えても、臨時代走者が塁上にいる間は試合に戻ることができない
- 臨時代走者が走塁中に負傷した場合は、さらに臨時代走を起用できる
- 臨時代走者に対して代走を起用することは可能
以下では、臨時代走のルールについて詳しく解説しています。
誰が臨時代走として出場する?
臨時代走として出場する選手は、試合に出場している選手に限られ、チームの監督などが指名することはできません。
高校野球特別規則では、臨時代走として出場する選手について、以下のように定められています。
(1)打者が死球などで負傷した場合
出典:高校野球特別規則
投手を除いた選手のうち、打撃を完了した直後の者とする。
(2)塁上の走者が負傷した場合
投手を除いた選手のうち、その時の打者を除く打撃を完了した直後の者とする。
投手を除き、次に回ってくる打順が一番遠い選手が臨時代走として出場することになります。
実際の例を用いて確認してみましょう。
臨時代走として出場する選手の例①
イニングの先頭打者である5番打者が死球を受け、臨時代走が必要になったケースです。
- イニング先頭の5番打者が死球を受ける
- 治療が必要なため、審判から臨時代走を命じられる
- 4番打者が臨時代走として出場する
※ただし、4番打者が投手の場合は3番打者が出場する。
臨時代走として出場する選手の例②
連続安打で2塁に到達したが、走塁中に負傷したため、臨時代走が必要になったケースです。
- 1番打者・2番打者の連続安打で0死1・2塁のチャンスを作る
- 2塁走者の1番打者が走塁中に負傷
- 治療が必要なため、審判から臨時代走を命じられる
- 9番打者は投手のため、8番打者が臨時代走として出場する
負傷した選手が試合に戻るタイミングは?
臨時代走によって一度ベンチに下がった選手は、治療を終えて異常が無ければ、再び試合に戻ることができます。
ただし、いつでも好きなタイミングで戻れるわけではありません。
高校野球特別規則では臨時代走者について、以下のように定めています。
臨時代走者は、アウトになるか、得点するか、またはイニングが終了するまで継続する。ただし、塁上にいる臨時代走者が次打者となるケースにおいては、その臨時代走者に代えて打撃を完了した直後の者を新たな臨時代走者とする。
出典:高校野球特別規則
つまり、治療を終えたとしても、臨時代走者が塁上にいる間は、試合に戻ることができないということです。
臨時代走によって一度ベンチに下がった選手が試合に戻るタイミングは下記のいずれかとなります。
- イニング中に再び打席が回ってきたとき
- チェンジになり、守備に就くとき
臨時代走として出場した選手が負傷した場合は?
臨時代走として出場した選手が走塁中に負傷し、治療が必要な場合はどうなるでしょうか。
このときも同様に、治療のために、試合の中断が長引くと審判が判断した場合は、さらに臨時代走を適用することが可能です。
臨時代走として出場した選手に代走を起用したいときは?
臨時代走として出場した選手に対しても、通常通り代走を起用することができます。
ただし、代走を起用した場合は負傷した選手が交代したこととなり、以後出場することはできません。
交代の対象となる選手を間違えないように注意しましょう。
(例)
4番打者が死球を受け、治療のために3番打者が臨時代走で1塁へ。
↓
1塁走者に代走で別の選手を起用。
↓
見た目は3番打者が交代したように見えるが・・・
↓
交代となるのは負傷した4番打者となる。
臨時代走が適用された場合の記録はどうなる?
臨時代走として出場した選手が盗塁を決めたり、ホームに生還して得点となったりした場合、公式記録は誰に記録されるのでしょうか。
高校野球特別規則には以下のように定められています。
(参考)臨時代走者の走塁上の取り扱いは、盗塁、得点、残塁などすべて元の走者の記録と扱われる。(規則5.10(e)【原注】)
出典:高校野球特別規則
つまり、臨時代走者による走塁上の公式記録はすべて、ベンチで治療中の選手に記録されることになります。
以下の例を見てみましょう。
(例)
2番打者が死球を受け、1番打者が臨時代走として起用される。
↓
直後に臨時代走者である1番打者が盗塁を決めた。
↓
公式記録では、“元の走者”である2番打者に盗塁が記録される。
まとめ:臨時代走について
ここまで、高校野球の臨時代走というルールについて解説しました。
臨時代走についてまとめると、以下のようなルールでした。
- 臨時代走として出場する選手は規定で定められている
- 治療を終えても、臨時代走者が塁上にいる間は試合に戻ることができない
- 臨時代走者が走塁中に負傷した場合は、さらに臨時代走を起用できる
- 臨時代走者に対して代走を起用することは可能
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