野球における大谷ルールとは、「1人の選手が先発投手と指名打者(DH)を兼任して出場できる」というものです。
兼任して出場する場合、「投手」と「DH」は別々の2人として考えます。
大谷ルールは、大谷翔平選手の活躍をきっかけに導入された、野球の常識を覆すルールといえるでしょう。
この記事では、野球における大谷ルールの内容や、いつから・なぜ導入されたのかをわかりやすく解説します。
このサイトでは、野球の公式ルールを定めた公認野球規則をもとにルール解説しています。
野球のルールをしっかり理解すると、プレーや観戦がさらに面白くなります。
細かいルールまで確認したい方は、公認野球規則をぜひ一度手に取ってみてください。
- 大谷ルールとはなにか
- 大谷ルールはいつから導入されたのか
- 大谷ルールはなぜ導入されることになったのか
- 大谷ルールが野球にもたらすメリット
大谷ルールとは?
大谷ルールとは、投手と野手の二刀流でプレーする大谷翔平選手のように「1人の選手が先発投手でありながら指名打者(DH)としても出場できる」というものです。
大谷ルールの主なポイントは以下の通りです。
- 1人の選手が先発投手と指名打者(DH)を兼任して出場できる
- 兼任して出場する場合、「投手」と「DH」は別々の2人として考える
- 「投手」を交代した場合でも、「DH」としての出場を続けることができる
- 代打や代走により「DH」を交代した場合でも、先発投手として投げ続けることができる
また、大谷ルールにより「投手兼DH」で出場している選手が交代する際は、以下のような注意点があります。
- 投手を交代して退いた後にDHとして出場を続けている場合でも、この選手が再び投手として登板することはできない
- DHを交代して退いた後に投手として投げ続けている場合でも、この選手が再び打者として打席に立つことはできない
- 投手と指名打者を同時に退く場合は、それぞれのポジションに新しい選手が起用される(途中出場の選手が「投手兼DH」として出場することはできない)
大谷ルールを公認野球規則で確認
大谷ルールは、公認野球規則にも定められている正式な野球のルールです。
大谷ルールについては、公認野球規則5.11(b)で以下のように定められています。
公認野球規則5.11(b)
チームは投手に代わる打者を指名する義務はない。しかしながら、先発投手自身が打つ場合には、本条(a)項により、別々の2人として考えることができる。監督は自分のチームの打順表に10人のプレーヤーを記載し、このプレーヤーにおいて、一つは先発投手、もう一つは指名打者として2度、同じ名前を記載することになる。もしこのプレーヤーが投手を退いたとしても、指名打者としては出場し続けることはできるが、再び投手として出場することはできない。また、このプレーヤーが指名打者を退けば、投手として出場し続けることはできるが、再び打者として打席に立つことはできない。
このプレーヤーが投手と指名打者の両方を同時に退くことになった場合、それに置き換わる投手と指名打者両方の役割を満たす他のプレーヤーに代わることはできない。チームにおいて、先発投手自身が指名打者としても打つことができる本規定を採用するかは、最初の打順表で記載するときにのみできる。

最初に書いてある、「投手に代わる打者」というのが「DH」のことだよ!
大谷ルールの正式名称とは?
大谷ルールの正式なルール名は公認野球規則に記載されていません。
ただ、現状は「大谷ルール」が適用されるような二刀流選手は大谷翔平選手ただ一人です。
そのため、「大谷選手のためのルール」という意味から、メジャーリーグでも日本のプロ野球でも「大谷ルール」と呼ばれています。
なお、オンラインで利用できる英語辞書サイトのDictionary.com(ディクショナリードットコム)にも、「Ohtani rule(大谷ルール)」と記載されています。
以上のことから、現状は「大谷ルール」がそのまま正式名称と捉えて問題ないでしょう。
将来的に、大谷ルールが適用される選手が複数出てきた場合は、新たに正式名称が作られる可能性もありそうです。
大谷ルールが適用される条件は?
大谷ルールが適用されるためには、「試合開始時に、投手兼指名打者(DH)として出場」していなければなりません。
具体的には、試合開始前に提出する打順表に、先発投手と指名打者(DH)に同じ選手名が記載されている必要があります。
大谷ルールが適用されないケースも確認!
大谷ルールが適用されない主なケースは以下の通りです。
- DHとして出場していた選手が試合の途中から投手として登板した場合
- 途中出場の選手
- DH制が採用されていない試合
上記でも触れましたが、大谷ルールが適用されるためには、「試合開始時に、投手兼指名打者(DH)として出場」している必要があります。
「投手兼指名打者(DH)」として試合を開始する以外は、すべてのケースで大谷ルールは適用されません。
大谷ルールはいつから導入された?
大谷ルールは、メジャーリーグと日本のプロ野球の両方で導入されていますが、それぞれ導入された時期が異なります。
大谷ルール導入の主な変遷は以下の通りです。
- 2022年にメジャーリーグで初めて大谷ルールが導入
- 2023年に日本のプロ野球へ導入
- 2027年にセ・リーグのDH制導入に伴って大谷ルールも導入予定
それぞれ詳しく見ていきましょう。
メジャーリーグでは2022年から大谷ルールを導入
メジャーリーグでは2019年3月に大谷ルールが発表され、2021年のMLBオールスターゲームで採用されました。
公式戦では、その翌年の2022年から正式に大谷ルールが導入されています。
日本のプロ野球ではパ・リーグのみ2023年から大谷ルールを導入
日本のプロ野球では、2023年から大谷ルールが導入されています。
なお、このときDH制が導入されていないセ・リーグでは、大谷ルールは導入されていません。
日本で大谷ルールが初めて適用されたのは、北海道日本ハムファイターズの上原健太選手でした。
2023年3月19日に開催されたイースタン・リーグの試合で、上原選手は投手兼指名打者として先発出場しています。
上原選手は6回まで登板し、7回からは他の投手と交代しましたが、以降も指名打者として出場を続けます。
8回に回ってきた打席で他の選手が代打で起用され、上原選手は試合から完全に退きました。
セ・リーグでも2027年から導入へ
これまでDH制が適用されていないセ・リーグでしたが、2027年からセ・リーグでもDH制が導入されます。
DH制の導入により、セ・リーグでも大谷ルールが導入されることになります。
大谷ルールはなぜ作られた?
メジャーリーグでは「大谷選手のような二刀流選手が持つ才能を十分に発揮するためのルールを整えることが、野球界の未来のためになる」という考えから大谷ルールが作られました。
大谷ルールが導入される以前のルールでも、投手が打席に立つことは可能でした。
しかし、降板したあとの選手起用において、チームにデメリットが生じるケースもあったため、二刀流選手の起用法には難しさもありました。
大谷ルールの導入によって、従来生じていたデメリットがなくなり、チームとしても積極的に二刀流選手を後押しできる環境が整えられました。
ここでは、大谷ルールが導入される以前に生じていた課題について紹介します。
大谷ルールが導入される以前の課題
本来、指名打者(DH)の選手は、守備にはつかずに、投手の代わりに打席に立ちます。
そのため、大谷ルールが導入される以前のDH制では、先発投手として出場する選手が打席に立つ場合、DHを使用できませんでした。
投手が打席に立つ場合、たとえば「1番投手」として先発出場することになります。
このとき、投手交代で降板したあとに、以下のような問題が生じます。
- 先発投手が降板した後は、リリーフ投手に打席が回ってきてしまう
- 先発投手が降板した後も打席に立つためには、他の守備位置につく必要がある
打撃力が低いリリーフ投手が打席に立っても、アウトになる可能性が非常に高いうえに、ケガのリスクも生じてしまいます。
そのため、投手に打席が回ってくるたびに代打を起用する必要性が高まります。
また、降板後に投手以外の守備位置につくのであれば、普段から守備練習をしておかなければなりません。
これにより、二刀流選手の負担が大きくなりすぎることが懸念されていました。
大谷ルールとは、1人の選手が先発投手と指名打者(DH)を兼任して出場した際に、「投手」と「DH」は別々の2人として考えることができるルールです。
これにより、先発投手として降板した後も、指名打者(DH)のまま打席に立つことが可能になりました。
大谷ルールは、大谷選手のような二刀流選手が、その才能を最大限活用できるように作られたルールだと言えるでしょう。
大谷ルールを導入するメリットは?
大谷ルールの導入によって期待される主なメリットは以下の3つです。
- 選手が故障するリスクが軽減される
- 選手がプレーする姿を長く見られる
- 将来の二刀流選手が育ちやすい環境ができる
大谷ルールは、選手もファンにとってもメリットがある画期的なルールです。
大谷ルールの導入によって期待されるメリットについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
選手が故障するリスクが軽減される
大谷ルールの導入によって、二刀流選手が故障するリスクの軽減が期待されます。
二刀流で出場する選手は、投手と打者の両方を行うため、他の選手よりも負担が大きくなることが予想されます。
さらに従来のルールでは、投手を交代した後も打者として出場し続けるためには、投手以外の他の守備位置につかなければなりませんでした。
すると、打者・投手に加えて、外野もしくは内野の守備も行わなければならなくなり、選手の負担がさらに大きくなってしまいます。
しかし、大谷ルールの導入によって、投手として降板した後も、他の守備位置につくことなく、打者としての出場を続けられるようになりました。
もちろん、投手として無理に長いイニングを投げ続ける必要もありません。
大谷ルールの導入は、二刀流選手の負担を減らし、選手としてのキャリアを長く続けるための仕組みとも言えそうです。
選手がプレーする姿を長く見られる
大谷ルールの導入によってファンが得られるメリットとして、二刀流選手がプレーする姿をより長く見られることが挙げられます。
従来のルールでは、投手として降板した後、他の守備位置につかない限り、打者としての出場を続けることはできませんでした。
そのため、大谷翔平選手のようなスター選手であっても出場機会が制限されてしまい、打席に立つ回数がなかなか増えません。
しかし、大谷ルールの導入によって、先発投手としての役割を終えた後でも、指名打者(DH)として試合に出場し続けられるようになりました。
これにより、二刀流選手の打席数の大幅な増加が期待されます。
同時に、1試合の中で二刀流選手がプレーする姿を長く見られる点は、ファンにとって大きなメリットといえるでしょう。
将来の二刀流選手が育ちやすい環境ができる
大谷ルールの導入は、将来の二刀流選手を育成する土台としても期待されています。
大谷ルールが導入される以前は、プロ野球で二刀流を最大限活かせるような仕組みは存在しませんでした。
そのため、投手と打者の二刀流は「理想ではあるが現実的には難しい」とされ、育成段階でどちらかを選択しなければならないケースがほとんどでした。
しかし、大谷ルールの導入によって、投手と打者の両方での出場を前提としたルールが確立されたことになります。
これにより、高校や大学、プロの育成現場でも「二刀流を目指す」という選択肢が現実的に検討できる環境が整いました。
大谷ルールによる「TWP(二刀流選手)」とは?
野球における「二刀流」という区分は、大谷翔平選手の活躍によって注目されるようになり、メジャーリーグのルールにも影響を与えました。
「TWP」とは、「Two-Way Player(二刀流選手)」の略称で、メジャーリーグにおける選手の登録枠の一つです。
メジャーリーグでは、試合に出場できる選手を登録する際に下記3つのいずれかに区分する必要があります。
- Pitcher(投手)
- Position Player(野手)
- Two-Way Player(二刀流選手)
Two-Way Player(二刀流選手)という登録枠は、2020年から施行予定でしたが、新型コロナ感染拡大の影響により2022年からの施行に延期されました。
ルールの施行当時、Two-Way Player(二刀流選手)に該当する選手は大谷翔平選手のみでした。
(※Two-Way Player(二刀流選手)の条件は次の章で解説します。)
こうした経緯もあり、一部メディアはこの二刀流に関する規定を“The Shohei Ohtani rule”(大谷翔平ルール)と名付けました。
メジャーリーグで導入された新たな登録枠
Two-Way Player(TWP)として登録されるためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 投手として20イニング以上投げている
- 野手または指名打者として出場し、3打席以上を記録した試合が20以上ある
当シーズン中(または過去2シーズンのうち少なくとも1シーズン内)で上記の条件を満たした選手は、自動的にTWPの資格を得ます。
このため、あるシーズン中に要件を満たせば、2シーズン先までTWP資格を保持できることになります。
また、TWPは、以下のようなメリットがあります。
- 投手の人数計算には含まれないが、「投手」・「野手」・「指名打者」のいずれも制限なく出場できる
- 「投手」として負傷者リストに登録し、マイナーリーグの試合にリハビリ出場しながら、同時に「野手・指名打者」としてMLB公式戦に出場することを選択できる
大谷ルールで野球はさらにおもしろくなる!
この記事では、野球における大谷ルールの内容や、いつから・なぜ導入されたのかを解説しました。
野球における大谷ルールとは、「1人の選手が先発投手と指名打者(DH)を兼任して出場できる」というものです。
兼任して出場する場合、「投手」と「DH」は別々の2人として考えます。
大谷ルールについては、公認野球規則5.11(b)で定められています。
このサイトでは、野球の公式ルールを定めた公認野球規則をもとにルール解説しています。
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