野球の記録において、打者を評価する指標の一つが「出塁率」です。
出塁率は、打率やホームランなどと同じように、野球の攻撃面でとても重要視されています。
そこで今回は、野球の「出塁率」という指標について詳しく解説していきます。
- 「出塁率」とはどういう数字なのか
- 「出塁率」の重要性
- 「出塁率」の計算方法
野球の出塁率とは?
出塁率とはその名の通り、「出塁した確率」を算出したものです。
出塁率が高いほど、得点のチャンスを作っていることになり、チームへの貢献度が高いとされています。
つまり、出塁率が高い選手は、何らかの方法で塁に出る確率が高いということが分かります。
これは言い換えれば、「アウトになる確率が低い選手」ということです。
「出塁率が高い選手」=「アウトになる確率が低い選手」
この考え方が、野球の攻撃面でとても重要になるので覚えておきましょう。
野球における「出塁率」の重要性
冒頭でも記述している通り、出塁率は野球の攻撃面において、とても重要視されています。
打率やホームランなどと同様に、出塁率を加味しながら打順を組むことも少なくありません。
出塁率がこれほど重要視されているのは、以下のような理由が考えられます。
- 野球はアウトにならないことが重要だから
- どんなに良い打者でも10回のうち7回は打てないから
- 「最高出塁率」というタイトルがあるから
野球はアウトにならないことが重要
野球は27個のアウトを取られるまでに何点取れるかを競うスポーツです。
より多く得点する為には、「アウトにならず、いかに多く出塁できるか」が重要になります。
どんなに良い打者でも10回のうち7回は打てない
野球は打率3割(10回のうち3回)打つことができれば良い打者と言われます。
これは裏を返すと、どんなに良い打者でも残りの7割は打てないということです。
ヒット数が少なくても、より多くの得点を狙っていく為に、出塁率が高い選手が貴重な存在となるのです。
プロ野球に「最高出塁率」というタイトルがある
野球にあまり詳しくない方でも、「首位打者」や「ホームラン王」というタイトルは聞いたことがあるかもしれません。
同じように、「最高出塁率」というタイトルも存在します。
レギュラーシーズンの全日程終了後、最も出塁率が高かった選手は「最高出塁率」というタイトルを獲得し、表彰されます。
このようにタイトルが存在するということは、「出塁率」が野球において非常に重要なものであると言えます。
出塁率の計算方法
野球の「出塁率」は以下の計算式で算出します。
出塁率を算出する計算式を見ると分かる通り、「安打数+四球+死球」が増えると、出塁率は上昇します。
「安打」・「四球」・「死球」以外で出塁するケースについて
安打・四球・死球以外にも、下記のように、結果として出塁するケースがあります。
- 相手のエラーによる出塁
- 相手の「野手選択(フィルダースチョイス)」による出塁
- 振り逃げによる出塁
- 打撃妨害、走塁妨害による出塁
ここで挙げたものはすべて、相手守備のミスによるものです。
「出塁率」は打者を評価する指標である為、出塁が守備側のミスである場合、出塁率の上昇とはなりません。
・相手のエラーによる出塁
⇒分母である「打数」が増えるため、出塁率は下がる
・相手の「野手選択(フィルダースチョイス)」による出塁
⇒分母である「打数」が増えるため、出塁率は下がる
・振り逃げによる出塁
⇒分母である「打数」が増えるため、出塁率は下がる
・打撃妨害、走塁妨害による出塁
⇒出塁率の計算には含まれない
出塁率の計算で最も間違えやすいポイント
「犠打(送りバント)」と「犠飛(犠牲フライ)」は、出塁率を計算する際に間違えやすいポイントです。
※「犠打(送りバント)」と「犠飛(犠牲フライ)」は、「打数」に含まれません。
「犠飛(犠牲フライ)」は、出塁率を算出する計算式の分母に含まれる為、出塁率は下がります。
それに対し、「犠打(送りバント)」は打撃妨害や守備妨害のときと同様、出塁率の計算には含みません。
・犠飛(犠牲フライ)⇒出塁率は下がる
・犠打(送りバント)⇒出塁率の計算には含まない
実際に出塁率を計算してみよう!
それでは、実際に出塁率を計算してみましょう!
ここでは例として、下記の成績を用いて計算します。
打数 | 安打 | 四球 | 死球 | 犠打 | 犠飛 |
---|---|---|---|---|---|
100 | 28 | 10 | 2 | 2 | 2 |
出塁率を算出する計算式に当てはめて計算してみましょう。
「出塁率」=(安打数+四球+死球)÷(打数+四球+死球+犠飛)
(安打数28+四球10+死球2)÷(打数100+四球10+死球2+犠飛2)
=40÷114
=0.350877…
小数点以下第4位を四捨五入し、
=0.351
打率と同様、1の位の0は表記しません。
よって、出塁率は「.351」となります。
計算した「出塁率」を「打率」と比較してみよう
同様の成績を例にして、打率も計算してみましょう。
打数 | 安打 | 四球 | 死球 | 犠打 | 犠飛 |
---|---|---|---|---|---|
100 | 28 | 10 | 2 | 2 | 2 |
打率は以下の計算式で算出します。
「打率」=「安打数」÷「打数」
上記の計算式に数字を当てはめて「打率」を計算すると・・・
「打率」=安打数28÷打数100
=0.28
よって、打率は「.280」となります。
今回、例として用いた成績では、出塁率が.351、打率が.280という結果でした。
比較すると、出塁率が打率を大きく上回っています。
つまりこの選手は、「四死球での出塁も多く、チャンスメイクができる選手」だと判断することができます。
プロ野球の歴代最高出塁選手
最高出塁率というタイトルは、パシフィック・リーグでは1962年から、セントラル・リーグでは1967年から連盟表彰の対象になりました。
ただし、当時は出塁率の計算方法が異なり、犠飛を分母に入れずに計算するものでした(犠牲フライで出塁率が下がらない)。
現行の計算方法は、1985年から両リーグで実施されています。
ここでは、現行ルールとなった1985年以降、歴代シーズン出塁率のTOP5を見てみましょう。
順位 | 選手 | 所属球団 | 出塁率 | 年度 | 打席 | 打数 | 安打 | 四死球 | 打率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 落合博満 | ロッテ | .487 | 1986 | 522 | 417 | 150 | 104 | .360 |
2 | 落合博満 | ロッテ | .4806 | 1985 | 568 | 460 | 169 | 104 | .367 |
3 | バース | 阪神 | .4805 | 1986 | 541 | 453 | 176 | 84 | .389 |
4 | 落合博満 | 中日 | .4728 | 1991 | 478 | 374 | 127 | 99 | .340 |
5 | 小笠原道大 | 日本ハム | .4725 | 2003 | 546 | 445 | 160 | 98 | .360 |
TOP5の中に落合博満氏が3度もランクイン!
これは凄い・・・!
落合氏は両リーグで最高出塁率のタイトルを獲得しているね!
いずれの選手も非常に高い打率を残していますが、打率よりおよそ1割も高い出塁率を記録しています。
打つだけでなく、四死球の数を増やすことでチームに貢献していることが分かります。
まとめ:出塁率の計算方法
ここまで、出塁率の重要性や計算方法について解説しました。
改めて、出塁率の計算方法を確認しておきましょう。
また、出塁率の計算では、以下の点に注意が必要です。
・犠飛(犠牲フライ)⇒出塁率は下がる
・犠打(送りバント)⇒出塁率の計算には含まない
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